大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(行ケ)66号 判決

事実及び理由

一  本件出願についての特許庁における手続の経緯、本件考案の要旨および審決の理由に関する各事実は、当事者間に争いがない。

二  そこで、本件審決にはこれを取り消すべき事由があるか否かについて検討する。

成立に争いのない甲第二号証によれば、審決の引用にかかる社団法人軽金属協会昭和三九年一月二五日発行の「アルミニウム建築マニアル」には、手すり子として型材が用いられ、型材としては、H、I形のほかチヤンネル状のものもあることが記載されており、右手すり子に関する記載からは、窓用手すり子を除外すべきことも窺えないから、前記引用例には、窓用手すり子を含んだ手すり一般の材料として、断面U形の型材が用いられることが開示されているものと認められ、また、従来、窓用手すりとして、L字状の形状をなす立子による手すり自体が周知であることは、当事者間に争いがない。

ところで、原告は、まず、本件考案における「左右対向片が外側又は内側に来るように断面U形の型材をL字状に屈曲する」構成の困難性を主張するけれども、断面U形の型材をL字状に屈曲して窓用手すり子とする場合に、左右の対向片が外側又は内側に来るように屈曲することは、当業者にとつてきわめて容易に考えうることであつて、本件考案において、前記態様で屈曲させる点には原告主張のような困難性を認めることはできない。

すなわち、断面U形の型材をL字状に屈曲する場合には、本件考案におけるごとく、左右の対向片が外側又は内側に来るように屈曲する場合のほか、左右の対向片が側面に来るように屈曲する場合が考えられるところであるが、左右の対向片が外側又は内側に来るようにL字状に屈曲する曲げ方の方が、曲げるときに容易であるうえ、笠木本体やアングル形取付桟に、型材をネジ止めするとき取付けが簡単で安定性があり、正面から見たとき、左右の対向片が中央連結片をはさんで対称の位置にあつて形状にバランスがとれていて外観上も体裁がよいなどの利点がある。これらの利点が、当業者の容易に理解しうる性質のものであることからすると、断面U形の型材をL字状に屈曲して窓手すりの立子として用いる場合には、前記曲げ方のうち、「左右の対向片が外側又は内側に来るようにL字状に屈曲する」曲げ方を選択することは、当業者にとつてきわめて容易になしうることであるとみるべきである。

なお、原告は、本件考案の構成の困難性に関し、断面U形の型材を前記態様でL字状に屈曲するための技術上の困難性について述べるが、本件考案は、実用新案であつて型材の屈曲方法や材質を対象とするものではなく、断面U形の型材をL字状に屈曲させた構成材料を用いて立子となし、これにより構成された窓手すりそのものを対象とするものであるから、工作上、少くとも断面U形の型材をL字状に屈曲させることが可能であり、かつ前記のとおり「左右対向片が外側又は内側に来るようにL字状に屈曲する」曲げ方を当業者がきわめて容易に選択できる以上、原告の主張は、本件考案がきわめて容易であるとはいえない理由とはならず、この点における前記判断を左右するものではない。

次に、原告は、断面U形の型材を立子の構成部材とし、これを独特の態様に屈曲して用いた本件考案の構成による顕著な作用効果として、構造的強度が大で、撓曲や変形に対して強い点や構成部品が少く材料費を低減できる点を指摘するが、これらは、断面U形の型材が本来有している特性に基づく自明の効果ないしは構成部材の有する強度特性に附随して当然予測される効果にすぎないから、これをもつて格別に顕著な作用効果とすることはできない。

以上のとおりで、本件考案がきわめて容易になしうるとした審決に、誤りはなく、何ら違法はない。

三  よつて、本件審決に違法があることを理由にその取消を求める原告の本訴請求は、失当として棄却する。

〔編註その一〕本願考案の要旨は左のとおりである。

中央連結片10bとこの両側に直角に連設された左右対向片10a、10cより成る断面U形の型材を左右対向片10aと10cが外側又は内側に来るようにL字状に屈曲して立子10を構成せしめた窓手摺

〔編註その二〕本件に関する図面は左のとおりである。

<省略>

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